新・読み書き算盤 the three R's 识字写算 чтение, письмо и арифметика
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     外国語の音韻に関する表
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    英語の母音-同音異字

    英語の特徴は、音と綴りの関係があまりに複雑で、ごちゃごちゃしていることである。一般的に言って、表音文字とは、文字と音の関係がきちんとしていることが、その特質である。すなわち、文字を見れば音が分かり、音を文字に書き表すことがかなり容易であることを長所としている。
    しかるに、英語は文字を見ただけでは、何と読むのか、ある程度見当がついても自信が持てない。普通は、正しい読み方を教えてもらうか、辞書を開いて一つ一つ確認することになる。ましてや、アクセントの位置は分からない。「英語はアクセントが大切なのでアクセントをはっきり付けて読むように」と言われても、知っている単語でないと、自信をもって読むことは難しい。
    音を聞いて文字に書くのは、もっとたいへん。まず音を正確に聞き取るのも一苦労だが、聞き取れたとしても、どういう綴りになるのかは、知っていない単語ではまず無理であろう。
    英語は表音文字を使用しているというのは、正確な表現とは言えない。変な綴りに出会うと「中途半端な表音文字」とでも言いたくなる。

    できれば、この煩わしさから逃れたいのだが、正書法が確立している言語では、綴りを自分の好みで選ぶわけにはいかない。したがって正書法は、忍耐強く学ぶしかなくなった。このことは、漢字を一つ一つ覚えていくプロセスと似ている。
    教える側からすると、文字と音の関係をネタにして、いくらでも問題を作ることができるのだから、こんな重宝なものはない。大学入試センター試験でも、最初の問題は、常に文字と音の関係やアクセントの位置を問うものである。「不動の一番バッター」である。
    単語を4つ並べて、「アクセントが置かれる母音が他と異なるものが1つある。それを選べ」というような問題が、今日でも延々と続いている。スペイン語では、こんな問題はありえない。文字が同じなら同じ音、文字が異なれば違う音と決まっているからだ。
    アクセントがどの音節に置かれるかについても、スペイン語では、文字を見ればすぐ分かる。そのルールは、簡単明瞭である。ところが英語では、文字を見ているだけでは分からない。やはり、音を耳で聞き、辞書を開いて発音記号で確認するしかない。

     問題を出す前に、まずは大本となる子音表と母音表を作成することが重要である。これで英語の音の全体像を把握しておかなければ、次の一歩は始まらない。「音から文字へ」というのが、英語を学ぶときは最も大切なことである。子音表と母音表を作った後で、子音の同音異字の表を載せた。子音の場合、同音異字はそんなには多くないし、ある程度は音を推測できる。
    しかし、母音の方は、まったく様子が異なる。22もの母音を「aiueo」の5文字と「wy」の2文字、計7文字で表そうというのだから、相当無理が生じる。
    ラテン語の母音は「aiueo」ですっきりしていた。日本語も都合よく「aiueoアイウエオ」であった。英語も、このラテン文字を借りて自らの音を書き表そうとしたが、そううまくはいかなかった。
    どうしても無理が生じてくるので、あれこれ工夫しないといけない。たとえば、2つの文字を組み合わせると「aiueo」×「aiueo」で、5×5=25とおりの表記がある。実際に、組み合わせて使っている。英語にとってローマ字(ラテン文字)は借り物だから、寸法が合わず継ぎ足しをするようなものである。
    因みに、ラテン文字を借用しているものの、母音が「aiueo」以外にもいろいろある他の言語では、どうしたか。たとえばドイツ語では、「äöü」のように、上にウムラウト記号を付して表すことにした。これは、文字を増やすことになるが、音と文字が対応して分かりやすいので、他の言語でも採用された方式である。
    しかし英語はこのやり方を採用せず「aiueo」と「wy」の7文字を組み合わせて母音を書き表す方法を採用した。文字を増やさないのはいいことかもしれないが、その分組み合わせが複雑になっている。
    組み合わせ方式は、フランス語にもある。例えば、「u」の文字は「ユ」の音で、「ウ」の音は「ou」と書くようにした。フランス語では、組み合わせたとしても文字と音の対応関係がかなりはっきりしているからまだいいが、英語の場合は、対応関係が一義的ではないので困ってしまう。

    いろいろ言っても、今さら英語の正書法を抜本的に改めることは困難である。使うのは26文字のみとし、付加記号は使わないと決めたので、これで通すしかない。
    そこで、母音表に該当する単語を書き入れた。母音の綴りで代表的なものを1つずつ選んでみたが、たちまち枠一杯の同音異字が入ってきた。こんなにたくさんあるのかと驚いてしまう。
    次に、母音表に発音記号を書き込み、1から22までの順番を付けた。大づかみに、「の」の字を描くように、中-左-上-右-下の枠の順序に進む。さらに、それぞれの枠は、左方の上から始めて、反時計回り(陸上競技のトラック回り)に進む。
    そして、同じ母音で同じ綴りの単語を集めて、枠内に書き入れた。ここでは、第1音節にアクセントが置かれる単語のみに絞った。最初の音節がアクセント母音になるので、その音が同じであることを確認してほしい。

    なお、稀な綴りの単語は、できるだけ右列に入れるようにした。これら「少数派」の綴りでも、いちおう知っておくほうがよいので、この際書き込むことにした。「少数派」は問題に出しやすいので、生徒はなかなか油断できない。
    該当する綴りは、おおむね網羅できている。外来語、とくにフランス語から入った単語で、「変わった綴り」のものは、入れていない。そこまで含むと、表が膨らみすぎてしまうし、よく使われる外来語は、綴りが英語風に直されている。
    なお「イアー」と「エアー」は、同じ綴りだったり、微妙に違っていたりするので、何度やっても忘れてしまうところである。色分けして仕分けをしてみると、それなりにきちんと収まっている。繰り返し見ていると、それなりに整った表記にはなっている。ここも、出題者にとっては「問題の宝庫」であろう。

     
      ★ 英語の母音 同音異字のまとめ










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