新・読み書き算盤 the three R's 识字写算 чтение, письмо и арифметика
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    日本語の音韻に関する表

    目次
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    ■ 漢字の音読み

    ■ 熟字訓

     ■ 難読


      


     

    ■ 五十音図について

     日本語の学習で、最初に目にするのが「あいうえお」「あかさたな」の五十音図である。

     小学校に入る前から、この図を見ている子どもはたくさんいるであろう。

    また、外国人が日本語を学ぶときも、五十音図を使って平仮名の「あいうえお」や片仮名の「アイウエオ」を覚えていく。

    当たり前のように思うかもしれないが、江戸時代の寺子屋ではまず「いろは」で仮名を覚えた。したがって、明治期になって辞書をつくるとき、「あいうえお」順に並べるか、「いろは」順に並べるかで試行錯誤が続いた。結果的に「あいうえお」順が勝利したので、今日では「あいうえお」順に配列することが、当たり前になっている。もしも「いろは」順が勝利したら、どうなっていただろうか。

    音の配列が規則的になっているのは、もちろん「あいうえお」順である。「いろは」順の国語辞典は、調べるのがかなり面倒だろうと推測する。

    そんな心配はもはやする必要がないが、実は五十音図は最後の行あたりがややこしくなって、形が崩れてくる。1行が5音ではないし、「ん」をどう配置したらいいか、戸惑ってしまう。いくつかのタイプが混在している。

    そこで、やはり5文字×10行にしたら、すっきりするのではというわけで、「わんを」と「ん」を「る」の隣に置いてみた。こうすると、ワ行が「わゐんゑを」となり、旧仮名遣いでもうまく収まる。
     ただし、読み上げるときは「わを ん」「わゐゑを ん」の順番である。「わを」や「わゐゑを」は同じwの仲間であり、「ん」はそこに居候させてもらっているようなものである。したがって、「ん」は遠慮がちにちょっと左にずらして書き込むのがよい。

     この方式は、
    1976年に福音館書店から出版された安野光雅著『あいうえおの本』と同じである。この本は、随所に工夫が凝らされていて、眺めているだけで楽しくなる。40年間、読まれ続けているのも当然であろう。「あいうえお」が横書になっているが、5×10の五十音図に収めたいという狙いはよくわかる。

    しかし、日本語には拗音や濁音、さらには促音があり、これら全体を一つにまとめて統一的に表したいと思い、表にまとめてみた。清音、清音-拗音、濁音、濁音-拗音の順に縦に並べてみた。この大枠を一つの印に置き換えてみたら、顔の形になってしまった。また、日本語には促音を示す文字がある。「小さいつツ」である。「っッ」をどこに置くか考えて顔の横に置いたら、ご飯粒が顔に付いたようになってしまった。「kawaii あいうえお」は私の名前「Kawai」からとったもので、洒落である。

     

    現在使用される音を合計すると、全部で108音になる。偶然ながら、除夜の鐘と同じ数になった。

    実際は、これに長音記号「ー」や外来語特有の表記を加えて、日本語を駆使している。

     この五十音図にはローマ字表記も加えた。ローマ字を覚えると英語教育の妨げになるとか言われ、あまり重視されなくなってきた。ところがパソコンの普及により、キーボードで日本語を入力するために必要性が増すことになった。ローマ字は母音が5つあり、日本語との相性もよい。平仮名や片仮名と並んでローマ字も日本語の表記方法の一つと考え、あわせて作成した。ヘボン式をベースとして、「ふ、を、ぢ、づ、ぢゃ、ぢゅ、ぢょ」の7つは日本式を取り入れた。「hu, wo, di, du, dya, dyu, dyo」とローマ字表記する。

     なお、現代の日本語では、「は」の濁音は「ば」ではなくなっている。400年前は、「は」は上下の唇を狭めて呼気を通す摩擦音であり、「ば」と調音点が同じであった。しかし、その後「は」は唇を緩めて、喉を呼気が通るときの音に変わった。

    口唇破裂音の「ば」は濁音であり、対応する破裂音の清音は「ぱ」である。「p-b」の関係はすっきりしている。多くの言語で「pの音」と「bの音」は対応する子音として扱われる。「t-d」の関係と同じことで、日本語でも「た」は清音、「だ」は濁音として対応している。同様に、「k-g」の場合も、「か」は清音、「が」は濁音として対応している。

    したがって、「ぱ」を清音の表に入れたいのだが、すでに「は」が陣取っているために席がない。やむをえず、「半濁音」という名称がつけられ特別扱いされて、濁音「ば」の隣に座ることになった。

    「半濁音」という用語もよくよく考えると、変な感じがしてくる。「半分、濁った音」とはどういうことだろうか。

    「ぱ」のように右肩に付される小さな記号「゜」は、「半濁点」と呼ばれる。これも、「ば」のように右肩に付される記号「゛」が「濁点」と言われることと関連している。

    「半分、濁った点」というのも、よくよく考えると、かえって分からなくなる。

    そうはいっても、「ぱぴぷぺぽ」を清音に含めるとしたら、大混乱が起こるので、「ばびぶべぼ」の隣からは動かさない。半濁音や半濁点という用語をそのまま使用してもいいかとは思うが、どうも座りが悪い。そこで、半濁音は「p音」(ピー音)、半濁点は「p点」(ピー点)と言い換えることにしてみる。他に適切な用語が見つかれば、それでもかまわない。


    「ん」について

    では、「は」の濁音はどうなったかということだが、それが「ん」に当たる。呼気が喉を通るとき、声帯が震えないと「は」であり、同時に声帯が震えると「ん」になる。ちょっと意外だが、「半半 はんはん」と言うとき、口の形は同じで、声帯を響かせるか、響かせないかが異なるだけである。

    「ん」を「n」で表記するので、舌を上顎に付けて「ん」と言う外国人がいる。そうすると「こんにちは」が「コニチワ」のように聞こえることがある。「コン ニチ」のように「ン」と「ニ」が区別されないと、融合して1音「ニ」になるためである。

    同様に「本を読む」が「本の読む」と聞こえる。「hon-wo」が合体して「honno」となる。

    パソコン入力では、「ん」は「nn」とnを2回も押すのだから、やむをえないことかもしれない。


    「ん」は、どうも収まりがよくないが、日本語には欠かせない音である。しかし、どう発声するのか説明するのは、なかなか難しい。英語に限らず多くの言語で、「nの音」は舌を上顎に付けて出す音である。「ん」と「nの音」とは異なる音である。しかし、日本語をローマ字表記するとなると、ぴったり合う文字がないために、やむをえず「n」の文字を当てた。そこで「ん=nの音」と勘違いしてしまうと、さらに混乱が生ずる。

     例を挙げてみる。新橋(しんばし)はm音、五反田(ごたんだ)はn音、新大久保(しんおおくぼ)はng音なので、同じ「ん」でも異なった音になるという説がある。日本語を学ぶ外国人に、「日本人はこの違いを意識しないで使っているので、注意しなさい」と教えることがある。果たして、そうか?

    それは、「ん」が「nの音」と同じような音だと思っているからで、そうすると新大久保が「しのくぼ」となり具合が悪い。そこで「ng」に変化させれば「しんおおくぼ」に近い音になる。実は「n」ではなく、「ng」になっていますよ、と説明する。新橋も「n-b」では口の動きがギクシャクするので、「m-b」に変化しているとした。これで、うまく説明できたと思うかもしれない。

    しかし、「ん」はあくまで「ん」であり、日本語は「ん」の音をきちんと発した後、次の音に移っていく。「ん」は、口を緊張させることなく、声帯の震動を伴って呼気を出す音であり、清音の「は」に対応する濁音の一種である。

    注意深く、新橋、五反田、新大久保と発音してみると、いずれも「ん」が「ん」として短く発声されてから、次の音に素早く移行していく。「ん」それ自体が、次の音に引っ張られて変音するのではない。

     
      ★ 日本語の五十音図







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